死別の悲嘆に対するケアであるグリーフケアは、看取り介護の現場でも適切に行っていく必要がある。人は死別の経験を通して学び成長をしていくものだが、自分だけでは悲しみから立ち直れなかったり、立ち直るのに時間がかかってしまう家族は少なくない。
看取り介護においては、介護職本人もまたさまざまな感情を抱きつつも立ち直っていかなければならない。そのため、遺族と比べても悲嘆から立ち直る方法に詳しい存在だと言えるだろう。
介護職は、悲嘆の感情そのものも理解してあげられる貴重な立場にあるため、ただ利用者の看取りを済ませただけで業務終了とするのではなく、残された家族のケアもしっかり行ってあげるべきだ。
グリーフケアは、看取りを終えてから行うものとは限らない。看取りを迎えるにあたっては、早い段階で悲嘆の感情にさいなまれる家族も多い。この段階でグリーフケアを丁寧に行っておくと、実際に看取りを終えてからの後悔を小さく抑えることも可能である。
看取り後に抱える感情というのは人それぞれで異なり、罪悪感や後悔の感情に支配されてしまうような人もいる。看取り前にどれだけケアをするかで看取り後に必要となるケアの程度は変わってくるため、こまめな気遣いや声かけを行い不安や悩みを軽減できるよう努めていくことが望ましい。
残された家族のグリーフケアによって、今後の看取り介護に生きる学びを得られることもある。自分自身、人間としても介護職としても成長につながるはずだ。このような経験を積み重ねることで、看取り介護への向き合い方も変わっていくだろう。